「資源循環推進協議会の運営に対する意向アンケート」を実施

当協議会の今後の活動として期待する内容は、「資源循環を促進するための他事業者との共同実証事業の実施、政策提言」と考える企業・団体等が7割以上

資源循環を推進する上での課題は、「法規制が多く対応が複雑」「自治体毎によって資源循環/廃棄物処理の解釈が異なる」と考える企業・団体が約5割


 一般社団法人資源循環推進協議会の全会員、後援、オブザーバーの合計147者(2024年5月末時点)を対象に、「資源循環推進協議会の運営に対する意向アンケート」(以下「本アンケート」、期間:2024年5月17日~5月31日)を実施しました。

 本アンケートでは、一般社団法人資源循環推進協議会の運営に対する会員の皆様の意向把握、また資源循環の推進に関する現状と課題の把握を目的に実施しました。本アンケートの主な結果は次のとおりです。

 本アンケートの結果は、当協議会が取り組む政策提言やワーキンググループでの議論に活用させていただきます。回答にご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。

【主な結果】

①「当協議会の今後の活動として期待する内容」について、「資源循環を促進するための他事業者と共同実証事業の実施、政策提言」と考える企業・団体等が7割以上。

②「興味のある活動分野」として、「サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルを実現するプラスチックのマテリアルリサイクルの推進(動静脈連携や資源循環に関連する法制度等)」に関心を示す企業・団体等が約8割。

③「資源循環を推進する上での課題」について、「法規制が多く対応が複雑」「自治体毎によって資源循環/廃棄物処理の解釈が異なる」と考える企業・団体等が約5割。

注)本アンケートにおける構成比(%)は小数点以下第1位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

【各結果の詳細】

①「資源循環を促進するための他事業者と共同実証事業の実施、政策提言」を、「当協議会の今後の活動として期待する内容」と考える企業・団体等が7割以上。

◉当協議会の全会員、後援、オブザーバーを対象とした本アンケートでは、「当協議会の今後の活動として期待する内容」として最も多かったのは「資源循環を促進するための他事業者と共同実証事業の実施」(75%)、次いで「資源循環を促進するための政策提言」(70%)でした。【図表1】

◉「当協議会の今後の活動として期待する内容」として、一択回答で質問した場合、最も多かったのは「資源循環を促進するための他事業者と共同実証事業の実施」(43%)、次いで「資源循環を促進するための政策提言」(17%)でした。【図表2】

【図表1】

Q:当協議会の今後の活動に期待する内容を選択ください。(複数回答)

【図表2】

Q:当協議会の今後の活動として、最も期待する内容を選択ください。

②「興味のある活動分野」として、「サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルを実現するプラスチックのマテリアルリサイクルの推進(動静脈連携や資源循環に関連する法制度等)」に関心を示す企業・団体等が約8割。

◉当協議会の全会員、後援、オブザーバーを対象とした本アンケートでは、「興味のある活動分野」として最も多かったのは「サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルを実現するプラスチックのマテリアルリサイクルの推進(動静脈連携や資源循環に関連する法制度等)」(75%)、次いで「脱炭素・低環境負荷な地域循環モデルの創出」(64%)でした。【図表3】

◉「今後の当協議会の活動として期待する支援や要望」として、「資源循環事業を社会実装していくための先進的な取り組み」、「サーキュラーエコノミーの社会的関心を高める」といった声が寄せられました。【記述1】

【図表3】

Q:興味のある活動分野を選択ください。(複数回答)

【記述1】

Q:今後の当協議会の活動として期待する支援や要望を教えてください。(自由記述)

注)会員企業や団体が特定される可能性がある表現は、一部改変しています。

▪ 昨今、サーキュラーエコノミーや資源循環に関するコミュニティが多く生まれていますが、他団体と比較せず、個性ある活動を期待しています。

▪ 資源循環の事業を社会実装していくための先進的な取り組みを期待します。

▪ 補助金活用やロビーング支援等、幅広い官民連携の支援事業を提供しているため、協議会の活動にお役立ちできることがあれば、何なりとお申し付けください。

▪ 広報やイベントを通じて、サーキュラーエコノミーの社会的関心を高めることを期待します。

▪ 事例紹介や、資源循環を推進している企業のPR、政策提言の進捗を共有を期待します。

▪ 動脈企業の資源循環の取り組み紹介と、ビジネスマッチングの機会をいただきたいです。

▪ 日本版DPPの実現への加速し、海外(EU)との連携に尽力頂きたいです。

▪ 各業界における、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していくことを期待します。

▪ 2030年までに日本のSDGs取り組みを、協議会をプラットフォームにして統合的に社会課題解決に向かうことができる、その情報と実践と成果、ソーシャルイノベーションのハブとなって頂くことを期待します。

▪ 資源循環業界のブランディングを強化し、地域によってまだブラックなイメージを持たれる業界イメージを一新していただくことを期待します。

▪ アンケートで把握された課題の解決に向け、是非政策提言をお願いしたいです。

▪ 会員企業の動向に関する情報を取得できることを期待します。

▪ 静脈産業だけでなく、動脈と静脈の一体化に向けた活動にも期待します。

③「法規制が多く対応が複雑」「自治体毎によって資源循環/廃棄物処理の解釈が異なる」ことが「資源循環を推進する上での課題」と考える企業・団体等が約5割。

◉当協議会の全会員、後援、オブザーバーを対象とした本アンケートでは、「資源循環を推進する上での課題」として最も多かったのは「法規制が多く対応が複雑」(53%)、次いで「自治体毎によって資源循環/廃棄物処理の解釈が異なる」(47%)でした。【図表4】

◉「資源循環を推進する上での課題」について、一択回答で質問した場合、最も多かったのは「法規制が多く対応が複雑」(26%)、次いで「マテリアルリサイクルに転換したいが、コストアップにかかる補助・インセンティブが無い」(19%)でした。【図表5】

◉「資源循環における取組を推進するにあたっての具体的な課題と解決案」について、多角的な視点から意見が寄せられました。【記述2】

【図表4】

Q:資源循環における取組を推進するにあたり、課題と感じる領域を選択ください。(複数回答)

【図表5】

Q:資源循環における取組を推進するにあたり、最も課題と感じる領域を選択ください。

【記述2】

Q:資源循環における取組を推進するにあたり、具体的にどのような課題があると感じますか。また、課題解決に向けて、解決案がありましたらご記入ください。(自由記述)

注)会員企業や団体が特定される可能性がある表現は、一部改変しています。

課題1:規制法令が多く対応が複雑
1-1:課題があると感じる点
①運転士、ドライバーの長時間労働、拘束時間等に対して労働基準法、道路運送法、廃掃法等要求される条件が異なり、業務上の管理が複雑。
②環境省通達(地方自治法245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言)の考え方や方向性を、そのまま自治体が運用しきれていない。
③官民一体となった解決策を検討したいが、資源循環における主体者間の課題が見えづらい。
④排出事業者、処分業者、時には行政職員も規制法令を理解しきれていないことがある。また、自治体から技術系職員がいなくなっている印象。
1-2:課題解決に向けた解決案
①運転士、ドライバーの雇用を拡充するための取組の推進。
その他: 関連業界からの規制緩和の政策提言を実施。
課題2資源循環事業を立ち上げたいが、長期事業性の見込みに不安がある
2-1:課題があると感じる点
①リサイクル材使用製品の経済的合理性が不十分。
②経済合理性が必要不可欠であり、それがあっても市場の需要に持続性があるかが懸念される。
2-2:課題解決に向けた解決案
①政策的なインセンティブを企業や消費者に提供することで、リサイクル材使用製品の市場形成が促進される。
②リサイクル材使用製品の商品開発力が必要。
課題3:マテリアルリサイクルに転換したいが、コストアップかかる補助・インセンティブが無い
3-1:課題があると感じる点
①マテリアルリサイクル推進に対するインセンティブがない。
②地域における資源回収の仕組みに、民間事業者が参入しづらいため、資源回収インセンティブの設計も進みにくい。
③石膏ボードの単純破砕と土壌改良利用は投資リスクが低く、水平リサイクル設備の導入を阻害している。一部地域ではこの工法が認められており、規制すべきである。水平リサイクルへの補助が設けられれば設備導入が進む確信がある。
④分別方法や廃棄物の回収のタイミングなどをルール化が曖昧になっていたり、各企業への周知が徹底されておらずペナルティなどの抑止力も機能していない。企業が資源循環に目をむけるような補助金などの整備が十分にされていない。
3-2:課題解決に向けた解決案
①マテリアルリサイクル製品に対する税の減額。
②自治体から民間事業者に、資源回収の拠点創出と再資源化ビジネスへの転換に必要な権利を譲渡する。
③現在、環境省による法案整備が進む全国一律の許可認定に、石膏ボード水平リサイクルを加え、他のリサイクル方法との差別化を図る。石膏ボード原料は石炭火力発電所等の脱硫工程から発生するが、今後減少が見込まれるため、製造コストの上昇が予測される。水平リサイクル設備に対して3分の1補助金を設定し、リサイクル原料を土壌改良ではなく、石膏ボード原料に還流される体制が必要。年間50億程度の補助金を10年程継続すれば、日本の石膏ボードリサイクル率は世界で初めてほぼ100%に近づく。
④補助金の導入、ルール化、違反ペナルティの執行の徹底、が有効。
その他:補助・インセンティブの制度をつくる。
課題4:小規模分散している資源の回収網が構築されていない
4-1:課題があると感じる点
①回収を前提にする場合、コスト、環境負荷、生産性の面で非効率になる可能性が高い。
②多くの製品が焼却処分されているが、顧客からも循環可能な仕組み創出を求められている。
4-2:課題解決に向けた解決案
①民間事業者を超えた連携、及び自治体や行政との連携の推進。
課題5:自治体毎によって資源循環/廃棄物処理の解釈が異なる
5-1:課題があると感じる点
①行政からの支援は必須であるが、助成金などは事後支払いのため、新規団体やグループが初動を起こす際の最低限の運営費を賄うのが困難。
②市中回収を前提としたリサイクルスキームを構築する際、自治体毎にスキームの遵法性を確認する必要があり、煩雑でハードルが高い。
③各自治体の首長のビジョンや未来志向性における、資源循環の重要度に差異があり、取り組みが進まない側面もある。
④生活者が循環の輪に加わろうとしても、自治体毎に異なる回収の仕組みが複雑であり、資源が適切に回収・活用されていない。
⑤廃プラスチック類のリサイクルは多くのニーズがあるが、メーカー毎にプラスチックの規格が異なるため、一括処理が難しく、対応に要する時間とコストがかかる。
5-2:課題解決に向けた解決案
①「運営準備金」等の名目で、初動時に活用できるサポートを整える。
②リサイクルに関する大臣認定の申請プロセスを簡素化し、回収物運搬の登録を容易にし、大臣認定のハードルを下げ、利用しやすくする。
③国内でのベストプラクティスを標準化し、自治体間の差異をなくすため、分かりやすい規制やインセンティブを通じた教育的学習機会を提供。
④生活者が循環の輪に簡単に加われるよう、回収の仕組みを分かりやすく簡素化する。具体的には、回収した資源がその地域に戻ってくる形を可視化する(生ゴミからバイオガスを生成し、市内バスに利用するなど)。
⑤規格制度設計への対応を促す。
課題6:地域で利用できる再生材を活用した商品が生み出せない
6-1課題があると感じる点
①業界全体が協力し合うための法令整備が必要。
6-2:課題解決に向けた解決案
①業界を牽引できる民間事業者や団体が連携して取り組む。
課題7:資源循環を検討しているモノの質または量に課題がある
7-1:課題があると感じる点
①アップサイクル製品について、品質とコストが既存製品を超えられない。消費者の購入意識を変えるための取り組みが必要であり、個社での取り組みだけでは限界がある。
②再生材使用製品を安心して使用するためには、品質レベルと安定性が不十分。品質の高い再生材であっても、その供給量に限界がある。
7-2:課題解決に向けた解決案
①国の政策的取り組みと、消費者の消費スタイルへの働きかけを通じて、消費者の主体的な行動変容を促す。
②品質と安定性が不十分な再生原料を集約し、高度な選別を行うことで、品質と安定性を確保するインフラを構築する。

【アンケート概要】

目的

一般社団法人資源循環推進協議会の運営に対する会員の意向、また資源循環の推進に関する現状と課題を把握することを目的に実施。

本アンケートの結果は、当協議会が取り組む政策提言やワーキンググループでの議論に活用させていただきます。回答にご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。

|対象 

一般社団法人資源循環推進協議会の全会員、後援、オブザーバー:147(2024年5月末時点)

|回答数

47(回答率:31.97%)

|アンケート手法

インターネット

|アンケート期間

2024年5月17日~5月31日